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診断基準の問題点

メタボリックシンドロームという概念が、健康上の問題をはっきりと浮き彫りにする一方で、 その診断基準を疑問視する声もあります。

現在のメタボリックシンドロームの診断基準は厳しいのではないか、 むやみに危険水準に当てはまる人を増やしてしまっているのではないか、という指摘です。

ここでは、現在指摘されているメタボリックシンドロームの問題点について解説します。

なお、メタボリックシンドロームの診断基準値についてはこちらをご確認ください。→「メタボリックシンドロームとは?

腹部の周囲径について

メタボリック症候群の診断基準 メタボリックシンドロームの診断基準のうち、必須項目である腹部の周囲径について。

とくに男性の基準が厳しすぎるのではないか、という指摘です。

アメリカでの基準は102cm以上に対し、 日本は85cm以上と、非常に厳しく設定されています。

なお、女性の基準はアメリカでは88cm以上に対し、日本では90cm以上で、日本のほうが基準が甘くなっています。

もちろん、この数字も、内臓脂肪面積の統計データから算出された数字ですが、統計の解釈の妥当性について議論がなされています。

たしかに、日本人は欧米人に比べて、肥満による病気になりやすい傾向はあります。
欧米人の男性では、肥満で体重100kgを超えても健康な人もいますが、日本人は、それほど肥満に対する耐性がありません。
欧米人よりも、肥満によってさまざまな疾患が出やすい民族です。
したがって、日本人の内臓脂肪型肥満の基準も欧米より厳しくて当然だ、という意見もあります。 

血液データの基準について

メタボリック症候群の診断基準 高血圧の基準について。世界保健機構(WHO)の基準では最高血圧が140mmHg以上に対し、 メタボリックシンドロームでは130mmHg以上。

また、最低血圧はWHOでは90mmHg以上に対しメタボリックシンドロームでは85mmHg。

また、空腹時血糖値も、従来の基準では110-125mg/dlで境界型、126mg/dlで糖尿病型でしたが、 メタボリックシンドロームでは110mg/dlで糖尿病。

どちらもメタボリックシンドロームのほうが厳しくなっています。数値にすればわずかな差ですが、不必要に患者を増やしているのではないか、という指摘です。

診断基準が厳しいことの問題点

メタボリックシンドロームの基準が厳しくなると、何が問題になるのか?

それは診断基準が厳しくなることによって、患者数をむやみに増やし、 血糖降下薬や降圧剤などの治療薬がむやみに使用されるというおそれがあることです。

メタボリックシンドロームとは従来言われてきた「生活習慣病」の重大な危険因子のことです。

これまで厚生労働省などが提案してきたことは、生活習慣病の治療や症状の改善は生活習慣の改善が基本ということです。

つまり、食事の内容を見直し、運動習慣を作ることで内臓脂肪を減らし、危険因子を減らしましょう、ということでした。 薬物療法はその後の手段で、食事療法と運動療法が基本でした。

メタボリック症候群の診断基準

ところが、メタボリックシンドロームでは診断基準がゆるやかになったことで、従来薬物療法を行わなかったケースでも、 安易に薬を使用する事態が予想されます。

基準が厳しくなることで、むやみに患者が増え、安易に薬を用いることで、さらに薬剤費、医療費の増加が起こることが予想されます。

また、メタボリックシンドロームは薬で治療しよう、という風潮になり、自らの生活習慣をかえりみて、健康への関心を持ち、 病気を改善しようという機会が失われる可能性も懸念されます。

メタボリックシンドロームの問題

メタボリックシンドロームという概念は、心筋梗塞や脳卒中を招きやすい健康状態をはっきりと浮かび上がらせたと同時に、その診断基準や治療の方向性について、疑問視する声もあります。
ここでは、このようなメタボリックシンドロームに関して指摘されている問題点についてまとめました。

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